J'adore -4ページ目

36 夏の恋人2

sora1


彼女は後30分だけ、彼を待とうと思った。


30分なんて普段の彼女ならとんでもない、1分でも待つのはイヤなのだから。


それなのに、なぜ?


こんな暑い真夏の炎天下の街角で待ってるのかしら?


彼のことを信じてなんかいなかった。


30分経って、彼は現れなくて、連絡もなければ永遠に彼と別れる決心ができる。


分析好きな彼女の計算からすれば、彼と彼女が一緒にいてプラスになることなんかほとんどない。


彼女を知る人は、「君には似合わない」と冷静な忠告をした。


「君は彼といて、何が楽しいの?」


そう質問されたときに、彼女は答えをみつけることができない。


学ぶことはなかった。


教えることもできない。


それなのに、なぜ一緒にいるのだろう?


自分に罰ゲームを与えているかのように、二人でいる空虚な時間はつらい。


彼といると、彼女は自分が生きてきた時間を無意味なものに感じてつらいのだ。


二人の間に横たわる生きてきた時間の差がニュアンスの違いを伝えることができないジレンマ。


今日だって、今だって、こんなところに立っていたら日焼けするじゃないの。


それでも暑くない顔をして、汗ひとつかかないで背筋を伸ばして彼を待つ。


わかっているの。


彼はわたしを愛してなんかいない。


わたしも彼を信じてないから愛せない。


彼女は誰かの熱い視線を感じていた。


だから、余計に背筋を伸ばす。


そして冷たい笑顔を装う。


わたしを後ろからみつめていて。


上手に別れのシーンを始めるから。


もう決心しているの。


そのシーンが終わったら、あなとの恋のシーンが始まる。


エピローグ=プロローグ

バトンです(^_-)-☆

初めてバトンなるものが、いつも素敵な恋愛小説を書いている「WEB恋愛小説 あなたへ」の『かおりさん』より周ってきました。


このAmebaブログでお友達になったかおりさんかおりさん とは、なぜだか同じときに同じような場面を描いていたりして、勝手に思い込んでいるのかもしれないけど、同じにおいがする(香がする)関係です。ニコニコフフ


なかなかほんとの姿を現さないわたしですが、今日は少しだけ実態がわかってしまうかも?


な~んて、そんな大してミステリアスではないですが。


まずはバトンの決まりごと


決まりごと                           
 



① 1,2,3で質問に答える

② 4で次の人の質問に答える

③ 5で回してくれた人へメッセージ

④ 6でバトンを3人に渡す


ではでは行きますね。


① 良く洋服を買いに行くお店は?


好きなのはフレンチカジュアルです。愛用してるのは、クローディピエルロとかコリーヌサリュー。少女っぽいかわいさが残るエレガントな感じが好きですね。あとはスペインのブランドだけどZARAなんかも好き。

普段、家で過ごすときはジーンズにセントジェームスのボーダーシャツがお決まりです。このセントジェームスは、わたしのblogにもよく登場するけど、元の彼氏がわたしに教えてくれた、とても気持ちのいいシャツです。知らない方は、アコーディオン奏者のcobaが着てるシャツといえばわかるかな?

後はそうね~、靴フェチです。最近のお気に入りは「noname」というフランスの靴。

はき心地もいいし、見た目がかわいいの~。

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これは一年中、履けるわ~。バレリーナみたいに編み上げになってるの。ヒールは7センチくらいかな?

このメーカー、半年前に予約するのだけど、けっこうなんか問題あるのか、デザインによっては生産をやめます。この春もあった。ガーンだから予約しても、半分諦めて待ってます。






② 一番好きなメイクパターンは?

ほんとはナチュラルと言いたいけど、キリッとした、ちょっと毒のある感じでいたいから、目には力入れます。目と眉ね。マスカラは欠かせない。
今はまだちょっとあそこまでは無理だけど、好きなのは「夏木マリ」さんみたいな感じ。
大人の「エロかっこいい~」でしょ?
素顔と化粧顔は基本的には、あんまり変わらないと思います。


③ これだけは外せない運命コスメは?


「エクスボーテ」かな~。ここのファンデーションは優秀です。

ベースとファンデーション使ってるけど、ハイビジョン対応とか女優顔とか言うのをうたい文句にしてるだけあって、かなり肌がキレイに見えます。いい感じに明るくキメをきれいに見せてくれる。



④ 次の人への質問


もしも整形するとしたらしたい?

ちなみにわたしは、アンチエージングは賛成。リフトアップとかシミやしわとりは賛成です。

顔の造作を変えるわけではないものね。ニコニコ



⑤ 回してくれた人へメッセージ


勝手に同じにおいがする=同士って思ってます。

いつも恋しているから、いい女ですよね~、かおりさん。

ドキドキがないと人生つまらないわ。

これからもドキドキさせてね!!


⑥バトンを回す人3人


これはわたしも困ってしまいます。

でも、ダメモトで3人の方にお願いしますね。

もちろんめんどくさい、あるいはこういうの嫌いな方はスルーしてくださいませ(^_-)-☆


とってもおしゃれで感度高いCGデザイナーのrosebudさん

http://ameblo.jp/rosebud/


すてきな詩を書いてるhanamizukiさん

http://ameblo.jp/hanahanamizuki/



かっこいい写真とハンサムな言葉が印象的なtsuuさん

http://spacem.exblog.jp/


ほんと、けっこう時間かかりますね~。

でも楽しかった。

ありがとう、かおりさん。


夏の恋人

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白いワンピースでたたずむ女(ひと)をみつめていた。


カフェでのひととき。


真夏に近い7月の午後。


日差しは強く、影もない。


誰かと待ち合わせだろうか?


彼女の服は、はりのある素材でしつらえてあり、襟元が大きく開きデコルテの美しさを強調したデザインだ。


少し大きめのサングラスと長い髪が品のいいエロスをうまく演出している。


強い日差しの中でも、日焼けはしないのよとでも言うような白い肌がまぶしい。


背筋を伸ばして、ある方向をみつめている。


彼女は時計も見ないし、携帯も見ない。


どんな素敵な男性が現れるのだろうか?


どんな恋のシーンが始まるのだろうか?


自分のことはそっちのけで、彼女に見とれていた。


彼女を自分の恋人に置き換える。


僕は彼女をこんな真夏の太陽の下で待たせたりはしないだろう。


彼女に「待つ女」は似合わないから。


エアコンのよく効いた車で迎えに行き、今日みたいな日なら白ワインのよく冷えたのでも飲みたい。


そして美術館にでも行って、マチスでも見るかな?


マチスの赤を彼女は好きそうだ。


彼女の待ち人が来た。


ずいぶん年下のような、気だるい表情の若い男。


洋服にしわが目立つ。


彼女には似合わない?


男は彼女に会っても大してうれしい表情もしないで、無言で二人は歩き始めていた。


僕ならば、君と会ったときは思いっきり微笑むよ。


君の白いワンピースをほめたいよ。


彼女は笑っていなかった。


彼女の夏の恋は終わりに近づいているのを知っているのかもしれない。

約束の似合わない二人

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「今度ゆっくりと会いたい。」


「いつ?どこで?」


わたしはよりリアルにその情景を想像したいから、あなたに説明を求めるのだわ。


「君が時間のあるときに。


そして、君の好きな場所で。


いつでも・・・・・。」


「じゃあ明日の夜。」


「明日はダメだよ。大切な客と商談がある。」


「週末は?」


「たぶん大丈夫。電話して。」


「わかった。」


そんなこと言いながら、この約束は成立しないくせに。


でも、考えてみたら、決まってしまう約束も嫌いなことは自分がよくわかっている。


約束したら、すぐに後悔して、断る理由を探してしまっている。


わたしたち、約束が似合わないのね。


ということは未来はありえないのね。


今が楽しめてるわけでもないわ。


だとしたら、なぜ一緒にいるのかしら?


「好きだ」、といういつもの言葉は今の関係には似合わないでしょ?


二人であっていても、誰か違う人との時間を考えている。


お互いにそうでしょ?


それなのに、二人でいるシーンは不思議に似合っているのが悲しい。


偽りの恋に、約束は似合わない。



33 I Wish Your Love 7

miti


徳永は、小さな滝の流れる木立の中で車を停める。


トランクに積んであったキャンプ用の小さな折り畳みテーブルと椅子を手際よくセットした。


グリーンと白のギンガムチェックの布をテーブルクロスにする。


クーラーボックスから、よく冷えたアスティスプマンテを取り出して、


やっぱりよく冷えた、ルミナークのシャンパングラスに注ぐ。


ロゼの泡が細かく立ち上がって華やかだ。


「よく冷えてるよ。」


アユミに渡しながら、自分はペリエをデュラレックスのグラスで飲んでいる。


「ありがとう。」


その繊細な細い脚を持つグラスを受け取って、アユミは微笑んだ。


ハムとチーズのパニーニとスモークサーモン。


アユミの好きなくるみも山盛り。


殻をハート型した胡桃割のカッターで器用にむきながら、手のひらに渡してくれる。


「自然の中のバーね。最高に素敵。二人だけだし。」


「そうそう、元気になってきた。アユミは、やっぱりいい女だ。」


「いい女?」


「オレが保障するよ。」


「どういうところが?」


「一緒にいて気持ちいいところ。」


少し意味ありげに徳永が笑う。


「ふーん。」


シャンペンの泡をみつめながら、テーブルで頬杖をついた。


グラス越しに、二人はみつめあう。


静かな木々のささやきが聞こえるような気がした。


檜の香が体全体を包んでいる。


二人のいる場所までは太陽の強い光線も届かない。


車の音も、人の足音も聞こえない。


二人だけだった。


徳永が身を乗り出して、アユミにキスをした。


何回も何回も軽いキスを繰り返した。


アユミは目を閉じてシャワーのように気持ちいいと感じていた。

32 I Wish Your Love 6


「会いたい。」


朝の9時、徳永からの電話。


「今、起きたばかりだわ。1時間は必要よ。」


「素顔でもいいじゃない。」


「だめ。あなたに会えない。きれいだねって言ってほしいもの。」


「わかったよ。1時間後に、いつもの場所に迎えに行くよ。」


アユミはフルスロットルで準備を始める。


だめ、だめ、昨夜はワインを一人で半分も開けたから顔がむくんでいるわ。


シャワーを浴びて、髪をブローしてベースメイクを念入りにする。


あと30分しかない。


それでも不思議に、約束時間に10分ほどオーバーした程度で準備は完了。


モルガンの体に沿うジャージー素材のスカートに迷彩柄のカットソーをあわせた。


徳永の待つ場所が見えないところまで小走りで行って、彼が見えそうなところからはわざとゆっくり歩く。


「おはよう。」


徳永はミニの窓を全開にして待っていた。


「どこに行くの?」


「山」


「何しに?」


「緑のシャワーの中で君と抱き合うため。」


「涼しいかな~?」


「それに、いい香がすると思うよ。君は疲れているみたいだから、緑がいいと思ったんだ。」


徳永はコンビニでコーヒーを買ってくれていた。


それとハムとチーズのパニーニ。


まだ、あったかい。


それとアプティスプマンテ。


冷たい。


「山で飲もう。」


車はゆるやかな坂を昇っていく。


上がっていくごとに、少しずつ道は細くなり、気温も下がっていく。


とうとう離合できないような細い道になった。


小さなお寺があって、管理人のような人が草抜きをしていた。


「ちょっと待っていて。」


線香らしき束を持って、徳永が車を降りる。


「一緒に行く?」


「行かないわ。だって、わたしはあなたの家族ではないもの。」


徳永の足音を聞きながら、背もたれに思いっきり体をもたれかけて、アユミは目を閉じた。


こんな感じ、嫌いではない。


とても親しいのに、とても遠い距離があると感じる寂しい瞬間。


だから、もっと愛してほしいと思えるから。


くちなしの香りがした。


甘く切ない夢の香り。

31 I Wish Your Love 5

ルノーサンク、思い出の車。


彼とわたしが愛した車。


残念ながら、すでに1992年に生産は終わっていたからユーズドで探すしかなかった。


それでも、いろんな車のカタログを見た後で


「やっぱり、サンクのヒップラインがいい!」


徳永が言った。


つんと上向きにヒップアップしたようなキュートな後姿に、アユミも惹かれていた。


ちょうどインターネットで検索した中古車の、このネービーブルーの色も気に入った。


赤で内装が革張りのバカラも気になったけど、シンプルなこの車は内装もカジュアルなほうがフレンチっぽいと思ったから。


パワーウィンドーの下がり方も妖しいし、冷房はあまり効かない。


ちょっと無理するとエンジンがしんどいよ~と訴える。


アユミは、ルノーのご機嫌を取るためにエアコンを使うのをなるべく控えている。


そしてCDでもMDでもなくカセットテープのデッキしかないが、それさえも使うことをためらう。


というか、エンジンの音を聞きながら、ルノーと会話する方が楽しいのだ。


快適に走る音を聞くと、なんだかラッキーなような気がする。


「まるで、この娘(ルノーサンク)はペットみたいね。」


「そうさ、その通り。ペットというか子どもというか、そんなものだ。」


「かわいいわ。」


「君にはとてもよく似合っているよ。」


徳永は満足そうに笑っていた。


サンクがご機嫌だった頃、二人は一番幸せだった。

30 I Wish Your Love 4

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「疲れている?」


店に入ってきたアユミを見て、まず徳永が聞く。


「わかる?なぜだかルノーも調子悪いの。ルノーがご機嫌ななめだから、わたしもそうなのかしら?」


ちょっと無理して笑って見せた。


少し無理している。


仕事にも恋愛にも人生にも、ちょっと無理している。


自分に厳しすぎるのだ、と徳永に言われたことを思い出した。


完璧さを追及すると、果てしなく条件は厳しくなる。


余裕のない女は輝きも失う。


今、ギリギリかな?


徳永は何も言わずに隣に座ったアユミの右手を握り締めた。


「コロナビールでも飲む?ルノーは僕が運転するよ。たまには、あの娘の機嫌を取らなくては。」


「あなたは彼女のお気に入りだものね。上手に操るわ。」


アユミは彼にキーを渡した。


赤いハイビスカス柄のアロハシャツに薄いオレンジのチノパンツを合わせて白いローファーの徳永は


日本人ではないような雰囲気をかもし出している。


もちろん一足お先に日焼けした腕は、夏を満喫した余裕が漂う。


「コロナにはライムを絞って冷たいうちに一気に飲むほうがうまいよ。」


目の前の穏やかな夕暮れの瀬戸内海を望みながら、徳永の言うとおりにコロナを思い切って飲む。


快い冷たさと酸味が、硬くなっていた心を柔らかくしていく。


「なぜコロナなの?」


「君がそうやって野生的に飲むところを見てみたかったから。なんかセクシーだよ。」


そうかもしれない。


気取ってワイングラスを傾けるのもいいけど、こんな気持ちのよい風の吹く夜はビールも少しいい感じ。


「この後どうする?」


「ドライブして、それから・・・・・。」


「二人っきりになる?そして一つになる?」


「イジワルね。今夜はNOとは言えない。」


酔ってはいない。


彼から、そう言われることを望んでいる自分を確信している。


「たまには君から誘ってほしいな。」


少しすねたように徳永が言う。


「そんなこと言わないわたしだから、好きなのでしょ?」


「そうかもしれないね。大好きだから。」


徳永は大好きというフレーズに力を込める。


ペスカトーレが運ばれてきた。


ガーリックと唐辛子の香が食欲をそそる。


付け合せにはスティックサラダとサーモンのマリネのケッパーソースがけ。


徳永はペリエのライム入りをオーダーした。


ペリエの瓶の美しいグリーンがテーブルに並ぶ。


「いいコンビネーションね。」


アユミは充分に元気になっていた。



29 I Wish Your Love 3

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徳永からプレゼントされて、ずっと愛用しているのがセントジェームスのボーダーシャツ。


はじめてみた時は、「なんなの。ただの縞縞のトレーナー」と思っていたのに、


身につけてみると、その硬かった生地がだんだんと柔らかくなり肌になじむことを感じた。


そしていつしか、ほとんど毎日のようにそのセントジェームスに袖を通す。


ボートネックの襟元が、華奢なアユミの白い首をより際立たせて美しく見せるし、


きれいな色の組み合わせのボーダーは何着あっても楽しい。


洗濯を続けるうちに、生地が薄くなってくるのがまた気持ちいい。


「このシャツのよさは、身につけてみるとわかるよ。」


そう言った彼の言葉は本当だった。


セントジェームスを愛用し始めたころ、車を買い換えた。


日本車には魅力を感じていなかったアユミに徳永はルノーサンクを奨めた。


もう生産されてはいなかったから、当然ユースドカーで探すことになる。


ちょうど近くの県で瑠璃色した5年おちのサンクがみつかった。


内装は爽やかなブルーで左ハンドルのオートマチック。


ヨーロッパの小さい車にはパワーステはついていなくて、ハンドルは重い。


それでも、一目だけで、この車に乗ろうと思った。


シートがよかった。


彼女の体に気持ちよく沿ってくれる。


インパネのシンプルさも気に入った。


そう、徳永は彼女のことをよく理解している。


不思議なくらい、徳永の奨めるものは彼女に似合っていた。


今日もこれからルノーに乗って、海辺のリストランテにペスカトーレを食べに行く。


もうすっかり夏の遅い太陽も沈んでいる。


ラジオのスイッチを消して、ルノーのエンジン音を確かめる。


ちょっとお疲れ気味な大きな音を立てているかな?


わたしと同じ。


彼に会えば元気になれるわよ。

28 PRISM6

iruka


まるでイルカが戯れるように、ベッドの海を二人は泳いでいた。


いつもより時間をかけて、お互いを確かめる。


そして、やはりとても相性がいいことを確信する。


いつしかカオリは、穏やかな海を走る小さなヨットになっていた。


白い波飛沫をあげて、沖の小さな島に向かうヨット。


その島までたどり着けばいいのに、渦巻く波が邪魔をしてカオリをもてあそぶ。


それなのに、そのイジワルな波はとても気持ちがいいのだ。


「イジワル」


カオリは桧垣の肩を優しくかむ。


うっすらかいている汗のせいか、潮の香りがした。


「でも、素敵だからやめないで。」


「何が見える?


「波のきらめきだわ。もう少しでその中に包まれそうよ。」


「二人で一緒に、その波の中に入ろうよ。」


白いきらめきの中、荒々しい波はさざなみに変わろうとしていた。


砂浜に打ち寄せては引き返す優しい音をたてて、波は引いていく。


あまりにも快くて目を開けるのがコワイ。


自分が微笑んでいるのがわかる。


「あなたが好き。」


自分の上に重なった桧垣の耳の後ろを愛撫しながら、ささやく。


桧垣の背中の汗を指でたどって、その指をなめてみた。


「海の味がするわ。わたしたちが泳いできた海ね。」


「もう一度、泳ぐ?」


「泳がせて。」


二人はもう一度、イルカになった。