約束の似合わない二人
「今度ゆっくりと会いたい。」
「いつ?どこで?」
わたしはよりリアルにその情景を想像したいから、あなたに説明を求めるのだわ。
「君が時間のあるときに。
そして、君の好きな場所で。
いつでも・・・・・。」
「じゃあ明日の夜。」
「明日はダメだよ。大切な客と商談がある。」
「週末は?」
「たぶん大丈夫。電話して。」
「わかった。」
そんなこと言いながら、この約束は成立しないくせに。
でも、考えてみたら、決まってしまう約束も嫌いなことは自分がよくわかっている。
約束したら、すぐに後悔して、断る理由を探してしまっている。
わたしたち、約束が似合わないのね。
ということは未来はありえないのね。
今が楽しめてるわけでもないわ。
だとしたら、なぜ一緒にいるのかしら?
「好きだ」、といういつもの言葉は今の関係には似合わないでしょ?
二人であっていても、誰か違う人との時間を考えている。
お互いにそうでしょ?
それなのに、二人でいるシーンは不思議に似合っているのが悲しい。
偽りの恋に、約束は似合わない。