約束の似合わない二人 | J'adore

約束の似合わない二人

cafe1


「今度ゆっくりと会いたい。」


「いつ?どこで?」


わたしはよりリアルにその情景を想像したいから、あなたに説明を求めるのだわ。


「君が時間のあるときに。


そして、君の好きな場所で。


いつでも・・・・・。」


「じゃあ明日の夜。」


「明日はダメだよ。大切な客と商談がある。」


「週末は?」


「たぶん大丈夫。電話して。」


「わかった。」


そんなこと言いながら、この約束は成立しないくせに。


でも、考えてみたら、決まってしまう約束も嫌いなことは自分がよくわかっている。


約束したら、すぐに後悔して、断る理由を探してしまっている。


わたしたち、約束が似合わないのね。


ということは未来はありえないのね。


今が楽しめてるわけでもないわ。


だとしたら、なぜ一緒にいるのかしら?


「好きだ」、といういつもの言葉は今の関係には似合わないでしょ?


二人であっていても、誰か違う人との時間を考えている。


お互いにそうでしょ?


それなのに、二人でいるシーンは不思議に似合っているのが悲しい。


偽りの恋に、約束は似合わない。