ロータスの香る夜には2
彼女は、ホテルの部屋に入ると、今まで身につけていたワンピースの背中のファスナーを勢いよく下ろした。
爽やかなストライプのワンピースとは違う、フランス製のオーバードゥーのマゼンダカラーのレースのセット。
白い肌に、艶っぽく映える。
ガーターベルトが、彼女の張りのあるヒップラインを引き立てる。
ハイヒールのサンダルを履いたままで、冷蔵庫を開けて、エビアンのボトルを取り出した。
窓際の椅子に腰掛けて、一気に飲み干す。
彼女は今夜の約束を思い出す。
「誘惑してね。」
ベッドの前のドレッサーで背中を写してみる。
肩甲骨からウエストにかけて、適度な筋肉が美しい。
小粒の真珠のネックレスが、部屋のスタンドの灯りで光った。
ダブルベッドの真ん中で、大の字になって天井を見上げてみた。
携帯の着信がなったけど、気がつかないふりをする。
3時からの時間は、彼とのもの。
あなたにだけ、わたしの時間をあげるから。